不動産を売買するときよく用いられる方法に「公簿売買」があります。これは売買する土地の面積は「土地登記簿」に記載されているものを使用する、というものです。土地登記簿に面積が記されていても、売買にあたって土地の測量を行い「境界を確定する」という作業が必要になります。そこで今回は、あまり知られてはいませんが意外と重要な「境界」と「測量」について見ていきましょう。
住宅ローンを組むには境界の復元が必要?
売買しようとしている土地が、相続で受け継がれた等の理由で古い土地であった場合、土地登記簿に書かれている面積と現在の技術で図り直した実際の面積に違いが生じることがあります。
前回お話しした通り、「公簿売買」は売買契約の時に境界が確定していなくても、土地登記簿に書いてある土地の面積を基に計算した値段で売買することが出来ます。では、もし登記簿にある面積と測量後の面積が異なってしまった場合はどうなるのでしょうか。
例えば、土地登記簿には面積が150平方メートルと書いてあったのに、きちんと確定測量が入った結果、実際の面積が148平方メートルだったとします。この場合、土地の買主様は2平方メートル分余計な金額を支払っていることになってしまうため、「その分の金額を返してほしい」といったトラブルになりかねません。
こういったトラブルを未然に防ぐために、公簿売買の際は、「もし登記簿にある面積と実際の面積が異なっていてもその差額の清算はしません。そのことに対して後から異議申し立てもできません」といった内容の特約を入れて、あらかじめ買主様と約束をしておきます。とはいえ、ほとんどの場合、表記と実際の面積の誤差は1~2平方メートルほどに留まるので、大きな金額のずれを心配する必要はありません。
実は、この境界を確定する作業は、買主様にとってもかなり重要なこととなります。なぜなら、買主様が住宅ローンを利用する際、「境界が確定していること」が融資を受ける条件になるからです。
そのため不動産会社は、確定測量を売主様負担で実施するとともに、決済日までに境界をきちんと確定させておくことを買主様に説明。新しい測量図を決済の日に買主様にお渡しするということで契約を進めるのが通常の流れになります。
確定測量が必要なケースって?
確定測量が必要となるのは「境界杭」がなくなってしまっている場合です。境界杭とは、隣の土地との境界をきちんと示すために打ち込まれている大切な目印のこと。石やコンクリート、金属製のプレートなどといった素材が使われます。そのため、長年の雨風などにより破壊されたり失われたりしてしまうことも少なくありません。
この境界杭がない場合、土地家屋調査士に測量を依頼して再度設置しなくてはなりません。この確定測量の費用が決して安くはないのです。
さらに、もし測量する土地が、隣り合う道路や隣地との境界が確定していない場合には官公署や隣地所有者との立会も必要になります。そうなると測量に必要な費用は50万円を超えることもあり、期間も長くなってしまいます。
こういった事情から、不動産会社が現地査定を行う際には、建物はもちろん、土地の状態もきちんと調べてこの境界杭を確認します。そして、確定測量が必要になりそうな場合、事前にその旨を売主様にお伝えすることで、「それなら測量費用分を売り出し価格に加えてほしい」などといったご希望に対応することが可能となります。親切な不動産会社であれば、現地査定の段階から境界や測量についての説明をしてくれるはずです。
弊社ではセカンドオピニオンの査定を無料で承っております。お取引に不安や疑問を持たれている売主様、是非一度ご相談ください。